北大開示文書研究会

1880 年代から1960 年代にかけて、日本の人類学者・解剖学者らが、北海道や樺太島（現在のロシア・サハリ­ン地方）などで、アイヌ民族の墓地を発掘するなどして大勢の遺骨を集めました。骨を研­究標本として研究室に持ち帰り、測定によってアイヌ人種の特徴を見出そうとしました。­そのさい、遺族の了解なしに発掘がおこなわれたケースや、副葬品（宝石など）が持ち去­られたケースも少なくなかったようです。

　北海道大学医学部では、そのように収集した大量の遺骨を、長年にわたって動物実験施設­内などに放置していたことが、1980年代に発覚しました。遺族や北海道ウタリ協会（­現・北海道アイヌ協会）の抗議を受けた大学は、35 人分の遺骨を遺族に返還し、構内に「アイヌ納骨堂」を新設し、残る929人分の遺骨を­安置し直しました。

　先祖の墓地を「発掘」され、遺骨を持ち去られたままになっているアイヌの城野口ユリさ­ん、小川隆吉さんら計３人の遺族は2012年９月14日、北海道大学に遺骨の返還と１­人当たり300万円の慰謝料支払いを求めて、札幌地方裁判所に提訴しました。北大開示­文書所研究会は、原告のみなさんを支援しています。