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ドンキ、ついにユニーを買収!――「世界展開」目指すドンキ、その思惑とは?

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Published on Oct 17, 2018

ついに「流通再編の切り札」といわれる企業が動いた。
 ディスカントストア大手の「ドンキホーテHD」(目黒区、以下ドンキHD、社名変更予定)は、業務資本提携している「ユニー・ファミリーマートHD」(東京都豊島区、以下ユニー・ファミマHD)の子会社である大手総合スーパー「ユニー」(名古屋市)の全株式を取得することを10月11日に発表。合わせて、ユニー・ファミマHDはドンキHDの株式を株式公開買い付け(TOB)で最大約20パーセント取得することも発表した。

 かつて大手スーパー「長崎屋」やダイエーの海外店舗を買収、この8月にも西友買収への興味を示すなど、流通再編の立役者となりつつあるドン・キホーテ。「大手スーパー・コンビニ・ディスカウントストア」融合のメリットとは果たして――。

ドンキ、「モール3つ分」の価格でユニーの買収完了へ
 ドン・キホーテは1978年にディスカウントストア「泥棒市場」として西荻窪で創業。1989年に「ドン・キホーテ」1号店を東京都府中市に出店して以降、急速に店舗網を拡大し、2017年11月の「MEGAドン・キホーテ山科店」開店により総店舗数は400店舗を突破している。

 ドンキHDは、2017年11月にユニー・ファミマHDと業務資本提携を実施し、ユニー・ファミマHDの100パーセント子会社となっていた総合スーパー「ユニー」株式の40パーセントを取得。さらに「UDリテール」を設立し、2018年2月からはユニーの既存店6店舗をドンキ主導型のユニーとドンキのダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換していた。

 今回、ドンキは残るユニー株60パーセントについても取得することを発表。ユニーはドンキの完全子会社となる。譲渡時期は2019年1月、取得額は約282億円。この額は、仮にユニーが展開しているショッピングセンター業態「ウォークモール」の新築費用に換算すると僅か3~4店舗分でしかない。ユニーの店舗に長く親しんだ人にとってみれば「年商7000億円規模のユニーが格安で買収されてしまった」という事実にショックを受ける人も少なくないであろう。
また、ユニーの金融子会社でクレジットカード発行などをおこなう「UCS」もドンキの孫会社となる。
ユニーの店舗といえば、イオンやイトーヨーカドーと同様に「明るくて通路が広いショッピングセンター」がイメージされる(最も、それよりも古い世代の「街なかの総合スーパー」といった店舗も少なくないのだが)。

しかし、こうしたユニーの店舗(アピタ・ピアゴ)からダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換された店舗を訪問すると、館内の雰囲気はかつてとは一変。内装、陳列、値札などの殆どが「ドンキ流」へと改められており、店内にはうず高く段ボールが積み上げられ、天井からは「驚安」のPOPがこれでもかとばかり大量にぶら下がる。
 商品についてもドンキでお馴染みのパーティーグッズ売場が設けられるなど殆どがドンキの仕入れルートを通じた品揃えになっているとみられ、ユニーの面影が残るのは生鮮食品売場くらいであった。また、営業時間についても、全てのダブルネーム店舗において閉店時間が「24時から26時」へと改められている。
しかし、何といっても以前と変わったのは「店内の活気」だ。こうした「変貌っぷり」は、ドンキが2008年に完全子会社化した総合スーパー「長崎屋」を改装して生まれた「MEGAドン・キホーテ」でも同様であるが、一番に感じられるのが「客層の若返り」だ。
「賛否両論」もあったユニーのドンキ転換であったが、ドンキHDの発表によるとこれまで「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換した6店舗では「転換後の2018年3月~8月の6ヶ月間において、累計の売上高が昨年同時期の68億円から132億円と昨対比約190パーセントを、6店舗累計の一日当たりの平均客数が約20,000人から約32,000人と昨対比約160パーセントを記録」したといい、長崎屋でも見せた「総合スーパー再生の手腕」は本物であったと言わざるを得ない。
同社は2019年にもユニー店舗のうちさらに約20店舗をドンキ主導のダブルネーム店舗へと転換する方針を発表していたが、10月11日に行われた記者会見では、今後5年間でユニーの店舗のうち約半数にあたる100店舗をこうしたドンキ主導型のダブルネーム店舗へと転換させる考えを明らかにした。
 一方で、ユニーはイオンモールなどに対抗すべく大型ショッピングモール「ウォークモール」を展開。こうした「ウォークモール」や「アピタ」業態の大型店は、地方都市では「地域の顔」として百貨店のような使い方をされている地域一番店も少なくなく、また元々「百貨店」「百貨店業態」だった店舗の跡に出店している事例もある。
こうした店舗の「ドンキ化」には、地元自治体やテナントを「説得」することも必要になってくるうえ、深夜営業をおこなうためには新たな従業員の確保や労働組合、周辺住民への説明も不可欠であり、「今後の処遇」についても注目される。
さて、今回は「ドンキのユニー買収」のみならず、ユニー・ファミマHDがドンキHDの株式を株式公開買い付けにより約2119億円を投じて最大20.17パーセントを取得、持ち分法会社にすることも発表されている。

 29期連続で増収増益を達成するなど単独での成長を続けていたドンキがユニー・ファミマの資本を20パーセントも受け入れることは少し意外に思えるが、これについてドンキの大原社長は「GMS、ディスカウントストア、コンビニエンスストアの3業態を持つ4兆7000億円の流通グループの有機的結合」による成長を掲げている。

 それでは「ドンキ」と「コンビニ」融合のメリットとは一体何であろうか。

 ドンキとコンビニの融合例として思い浮かぶのが、ファミマが今年から都内3店舗で展開しているドンキとの実験的融合店舗「ファミリーマート PRODUCED BYドン・キホーテ」だ。これらの店舗では、ドンキ流の陳列・販売手法を取り入れることで取扱商品を増やし、売上の拡大に成功している。

 しかし、今後の「融合」はこうしたコラボ店舗のみには留まらないであろう。

 従来のドンキや総合スーパーには無かった「コンビニならでは」のサービスの代表格といえるのが、コンビニ各社でお馴染みとなったチケット発券などをおこなうマルチメディアキオスク端末、マルチコピー機などの存在だ。

 ファミリーマートでは、ユニーと経営統合後の2017年3月よりユニーが運営する総合スーパーの店内にコンビニならではのサービスを提供することに特化した「ファミマサービススポット」の開設を進めており、ユニーの店舗内で公共料金の支払いなども行えるようになった。今後は、こうした施設やマルチメディア端末がドン・キホーテの既存店舗内へと設置される可能性も高いであろう。
もちろん、ドンキにとってそれ以上に大きなメリットといえるのが、ファミリーマートが持つ「海外展開ノウハウ」を取り入れることができるということだ。
 ファミリーマートは西武セゾングループだった1988年に台湾に海外1号店を出店させて以降、展開地域を広げており、2018年9月現在アジア各地に約7,200店舗を展開。店舗運営において現地資本の導入を積極的におこなうなど「現地化」も進んでおり、今や日本発の流通企業としては最大級の店舗数を誇る。もちろん、こうした急速な海外展開を進めることができた背景にはユニー・ファミマHDの株式を約35パーセント保有する大手商社「伊藤忠商事」の存在も大きい。
一方、ドン・キホーテが初の海外進出を果たしたのは2006年。ダイエーが米国ハワイ州で展開していた店舗を買収したことがきっかけであった。
 現在ドンキHDは成長戦略として「東南アジアを中心とした世界各国への店舗展開」を掲げており2018年9月現在は海外に39店舗を展開するものの、そのうち37店舗は米国においてダイエーやその他の日本食スーパーなど他社事業を買収した店舗ばかり。実際にドン・キホーテとして新規出店した店舗は、2017年以降シンガポールで展開している「ドンドンドンキ」2店舗のみに留まる(なお、このほか10月中に米国に1店舗出店予定)。

 今回の買収・業務資本提携の裏には、海外での事業拡大を確実に成功させるためにファミリーマートと伊藤忠商事のノウハウや商品調達力、資本力を味方に付けたいドン・キホーテの思惑が大きいものと思われる。
今回の買収・業務資本提携の発表に合わせ、ドンキHDはさらなる海外展開の拡大を目指して2019年2月に「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」へと社名変更することも発表している。

 ドンキは新社名を「日本のみならず環太平洋地域において小売業の有力な企業として発展していくという決意をこめた」ものであるとしており、今後同社は本格的な世界展開に乗り出すものとみられる。

 今回の買収劇について「これからの流通業界の荒波を乗り越える新たな決意」であると述べたドン・キホーテ。

 流通業界の荒波は、そしてその荒波を乗り越えようとする同社は、今後どのような姿を見せてくれるのであろうか。
<取材・撮影・文/若杉優貴(都市商業研究所)>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken

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