Source:YouTube/ doktormorris
マインクラフトは、至るところで人気を博しています。2011 年のリリース以来、世界中のプレイヤーがブロックで組み立てられたマインクラフトの世界を探索してきました。ゲームは南極やバチカン市国を含む世界中のあらゆる地域で販売されています。この 10 年間、さまざまな国の多彩なユーザーがゲーム内で探検や建築を行い、ストーリーを紡いできたことから、マインクラフトの自由度の高さがわかります。誰もが創造性を発揮して、まるでキャンバスのように興味のあることや夢中になっていることを描き出せるで、国や文化を問わずそれぞれの楽しみ方ができるのです。当然、YouTube にも、マインクラフトの世界的な人気が反映されています。
南米から東南アジアまで、世界中のクリエイターが実況、ロールプレイ、チュートリアル、建築などの動画を制作しています。こうしたジャンルは試行錯誤の末に生まれたものですが、地域ごとの独自性を表現する余地はまだ十分に残っており、YouTube のマインクラフト コンテンツを世界に向けて発信する魅力がそこにあります。地域の特徴は言語そのもので表現されることが多いものの、マインクラフトでは、MOD を使用して文化的な特徴を持つアイテムやオブジェクトを作成することができます。たとえば、クリエイターの Hermanos Liu は美味しそうなタコスをメキシコの視聴者とシェアしました。また、ディワリ祭、国際母語デー、イードなどの行事や祝祭日は世界中のクリエイターが祝っています。
YouTube のマインクラフト コンテンツを通じて、同じようなテーマやアイデアに対する解釈が、世界各地でどのように異なるかを知ることもできます。たとえば、ロールプレイ サーバーに、国境や言語の壁はありません。複数の YouTube チャンネルのゲームプレイにより叙事詩的な物語が紡がれる Dream SMP が英語圏を席巻する一方で、他の地域でも画期的な事象が起きています。Herobrine SMP はインドの視聴者を魅了し、Topcraft はブラジル人をとりこにしました。一方、世界中で高い人気を誇るスペイン語圏クリエイターたちは TortillaLand に結集しました。複数のチャンネルが参加するこのようなイベントは数百万回を超える視聴回数を集め、各地域の活動をまとめるうえで重要な役割を果たすとともに、それぞれの活動を称える機会ともなります。
こうしたチャンネルやクリエイターにより、表現手段としてのマインクラフトの可能性が世界中の人々に知られるようになっています。視聴者が画面上で表現される自分たちの文化を見られるだけでなく、それまで知られていなかった習慣や考え方を紹介することで、その文化を世界中に広く伝えることもできます。自国における YouTube のマインクラフト コミュニティについて、また、世界中のあらゆる人々に向けてコンテンツを配信するようになったきっかけについて、世界各国のクリエイターたちが語ってくれました。
ブラジル
「ブラジル人は楽しいことが大好きです。YouTube は、多くの人々に娯楽を提供できる優れたプラットフォームです。Ayu Gaming を始める前、実は音楽チャンネルを運営していました。ある日、マインクラフトで遊んでいたら、私の音楽コンテンツのファンだった Forever Player が、ゲームにレイドを送ってきました。多くの人が訪れ、その後、親しくなったことで、まったく新しい世界が開けました。YouTube のマインクラフト コミュニティに集まる人々はとてもフレンドリーで、クリエイターもとても親切です。それまで活動していた音楽や vlog(動画ブログ)のジャンルは競争が激しくなりがちだったので、その点が違いました。」
「Sam、Nogal、Judy Gaming と私で #craftgirls というグループを始め、マインクラフトに関するコンテンツをなるべくたくさん制作できるよう取り組んでいます。世界中の他の地域と同様、ブラジルでも YouTube のマインクラフト コミュニティは男性ばかりだからです。すでに、数多くの女性から、マインクラフトをまたプレイしてみようと思ったというメッセージが寄せられています。また、視聴者の皆さんがコンテンツを楽しんでくださっているとお聞きすると、非常にうれしいです。多くの方に笑顔になってもらえれば何よりです。」
トルコ
「今 19 歳ですが、10 年前からマインクラフトをプレイしています。子どもの頃から大好きなゲームなんです。トルコでは、YouTube のマインクラフト コミュニティはそれほど盛んではありませんが、15~16 歳の若い頃に始めたクリエイターばかりなので、お互い助け合っています。Enes Batur もいますし、RuLing Game にはチャンネル開設時にいろいろとサポートしてもらいました。とても仲良くしていて、しょっちゅう一緒に旅行に出かけています。」
「マインクラフトで、漫画のようなロールプレイ動画を制作しています。トルコでは、少ないながら TheMurat や Minecraft Parodileri などが、この手のコンテンツを手掛けています。イスタンブールで、『トムとジェリー』をテレビで見て育ったため、動画にも多少その影響があります。視聴者のほとんどはトルコ在住の人ですが、トルコ人が多いドイツ、ベルギー、フランスなど世界各地にも視聴者がいます。コンテンツには、ケバブやラフマジュンのようなトルコ料理を取り入れています。通常、マインクラフトでケバブは食べられませんが、MOD を使って追加しました。動画ではモスクに行くことも、トルコ語方言を使うこともあります。たとえば「gardaşım」は「アニキ」といった意味です。こういった点を視聴者は喜んでくれます。」
ベトナム
「2014 年に、現在も住んでいるホーチミン市で YouTube クリエイターとしての活動を始めました。当時のベトナムでは、YouTube のマインクラフト コンテンツは生まれたばかりでした。ベトナムで初めに YouTube のマインクラフト コンテンツ ブームのきっかけを作った BHGaming には感謝しなければなりません。私たちがサバイバル ゲーム、ミニゲーム、チュートリアルなどを中心としてコンテンツを作成したのは、単純に楽しかったからです。その頃と比べると、YouTube のマインクラフト コミュニティは大きく変わりました。それほど多くのクリエイターはいませんが、新しい波も出現しています。たとえば Dương Record の動画は非常に楽しいです。」
「世界中のさまざまな国と同様、マインクラフトはベトナムでも人気があります。このゲームが気に入って、もっと詳しく知りたくなると、YouTube で検索してコンテンツを見てくれます。チャンネルにはすでに 1,400 本以上の動画があり、最近はストーリーテリングに力を入れ始めました。Dream SMP シリーズは非常に人気がありますが、英語なので内容がよくわからないことがあります。そこで、何が起こっているか内容を説明する動画を作成することにしました。ストーリーを語るかわいいちびキャラも作ったんですよ。」
ロシア
「Java 1.4 が登場した 2012 年から、マインクラフトをプレイしています。YouTube で Markiplier がマインクラフトをプレイする動画を見て、すごく面白そうだと思ったんです。それからマインクラフトに関する情報を検索し始めましたが、2012 年のロシアでは、モバイル インターネット環境はまだ整っていなかったため、YouTube ではなく Minecraft Wiki を使いました。そんななか、マインクラフトを一緒にプレイした人の多くが、ゲームの仕組みをよくわかっていないことに気づきました。そこで、彼らがもっと効率よくプレイできるようサポートしたいという思いから、2014 年に初めての動画を作成しました。」
「私がコラボレーションをしてきた人たちの多くは、開拓者精神を持ち合わせていました。(英語圏の)全体的な状況を追うと同時に、独自の道を見つけようとする姿勢です。たとえば、英語圏のプレイヤーが、ゲーム・オブ・スローンズやハリー・ポッターをもとにサーバーを立ち上げても、自分たちには親しみを感じられないことがあります。ロシア人にとっては、異文化なのです。こうしたなかから、S.T.A.L.K.E.R. シリーズに出てきた巨大なチェルノブイリの再現のような、ユニークな動きが出てきています。現在、ロシアの YouTube のマインクラフト コンテンツでは、そういった必ずしも子ども向けに限らないテーマをゲームと組み合わせる動きが見られます。」
メキシコ
「2013 年に 12 歳でチャンネルを開設した頃、マインクラフトのコマンド ブロック(レッドストーンによって起動し、プレイヤーが選択したコマンドを実行できる機能を持ったブロック)に関する動画をたくさん見ていました。ただ、メキシコには(他の国のように)コマンド ブロックを使ってすごいものを作る YouTube クリエイターがいなかったので、自分で動画をアップロードすることにしました。」
「最近は、マインクラフトに関するニュースや、最近発表されたカエルやホタルのような機能アップデートに関するコンテンツを主に作成しています。また、ゲームのコードに隠された珍しい発見や、チャンネル登録者向けに開催しているチャレンジについても投稿しています。スペイン語でマインクラフト関連ニュースを発信するクリエイターとしてはかなり知られており、米国やイギリスのような英語圏や、ペルー、アルゼンチン、コロンビアなどのスペイン語圏を含め、世界各地に視聴者がいます。自分の楽しみのために始めたチャンネルでしたが、ここ 2 年で急成長を遂げました。現在は、グラフィック デザインを学びながら、仕事として YouTube のコンテンツ制作を行っています。家族はそれほど裕福ではないので、家計を助けることができるのは非常にうれしいことです。」
スペイン
「2012 年にチャンネルを開設して以来、スペインの YouTube マインクラフト(コミュニティ)は状況が激しく変化してきました。今では、誰でも楽しめるコンテンツが充実しています。クリエイターとして長く活動していますが、以前に比べ、より良い動画を制作するためのリソースも手に入りやすくなりました。現在は、プロフェッショナルの時代になっていると感じます。」
「一人ひとりが自分の力を発揮しつつ、コミュニティとして結束することが大切です。スペイン語圏のコミュニティには、マップやレッドストーン回路の作成者から、時折ゲームを楽しむプレイヤーまで、さまざまな人がいます。2020 年には、Mindcrack(ウルトラ ハードコア サバイバルを数多くホストするプライベート サーバー)を立ち上げた Guude に、英語圏とスペイン語圏のコミュニティでコラボレーションしようと持ちかけました。このイベントで、双方のコミュニティの規模が非常に大きいこと、Mindcrack と UHC España のプレイヤーがともに楽しく魅力的な人たちであることを実感しました。一瞬一瞬が、とても大切な思い出です。また、マインクラフトの世界の住人がスペイン人だというミームまであります。スペイン人は表現力が豊かなので、マインクラフトのようなサンドボックスで何でも作れるとなれば、たくさんの楽しいコンテンツができるのではないでしょうか。」