今、なぜ「突き抜けてゆけ 光の中へ」なのか。
この曲は、旧譜であり、一旦お蔵入りにしていた曲です。
テーマは、暴力と破壊に支配された世界に抗して、連帯性を基にした<愛の闘い>を展開するというものです。
直接は、当時の世界情勢(テロリズム)に触発されて書かれた曲なのですが、連帯性を基にした<愛の闘い>というコンセプトは、すべてが瓦礫に変じ、零からのやり直しを強いられた現在の状況にも通用するのではないかと思います。
2011年、日本は未曾有の悲惨に襲われたわけですが、この状況は終戦直後の焼け野原を再スタートの起点とした我々の先行世代の状況に似ていなくもないように思われます。ちょうど、地震の起こる直前に、私は椎名麟三の『永遠なる序章』を読み返していたのですが、彼は戦後の、何もかも破壊され尽くした零地点を文学的なスタートラインにして、やがては死に至る有限存在としての自分の実存を見つめ直し、やがては愛の思想の方にシフトしていったのでした。
私は先程、連帯性という言葉を書きましたが、そのとき「我反抗す、ゆえに我らあり」といったアルベール・カミュのことを思い浮かべていたのでした。
私たちは、世界の終焉に抗して、不条理と戦ってゆきます。そのことによって、我から我らへ、人と人との結びつきが確かなものになってゆくのです。
また、私は「愛の闘い」と書きましたが、これはカール・ヤスパースが唱えた考え方でもあります。彼は、「愛の闘い」という言葉に、実存的交わりを基にして切磋琢磨して、自己超越に向かう志向の意味を込めようとしたのです。
世界は、不条理に満ち満ちていますが、命ある限り、この人生に意味を与えるために戦ってゆかねばなりません。
私たちは、この人生に投げ込まれて(被投性)生きていて、別な生を選ぶことは出来ませんが、人間は零からの存在者であるがゆえに、その可能性は未知であり、世界を変えることができるのです。
そして、音楽が何がしかのことが出来るとしたら、そうした生を鼓舞し、より強烈で、生き生きとしたものに変えることにあると考えます。保管庫から再び取り出したこの曲が、絶望に抗して生きる人々に、少しでも勇気を与えることができれば、作り手の一人としてこれに勝る喜びはありません。
作詞者 原田忠男
作曲者 藤島五郎
編曲者 藤島五郎・鵜川幸博
突き抜けてゆけ コンクリートの壁 メトロの中を
駆け抜けてゆけ 舗道に ステップが鳴り響いてゆく
突き抜けてゆけ コンクリートの壁 メトロの中を
駆け抜けてゆけ 舗道に ステップが鳴り響いてゆく
僕達の祈りは 産声を上げたばかり
夜明けが来るのを 信じよう
青い幕が上がり やがて朝が来るだろう
聴こえるかい 君の心にこの声が
※世界を覆い尽くす 噴煙と黒い霧
今日のニュースでは テロを伝えてる
だけど 僕達は知っている
暴力がもたらすのは すさんだ荒野※
突き抜けてゆけ 未来の方へ 光の中へ
駆け抜けてゆけ リズムとメロディーが 街に鳴り響く
僕達の闘いは まだ始まったばかり
朝の陽射しは まばゆくて
薔薇色に燃え上がる炎は 愛と自由を物語る
焼き付けたかい 君の心の印画紙に
世界を支配する 暴力と恐怖
今日も泣き叫ぶ 子供達をテレビが映す
☆だけど 僕達は諦めない
いつか愛の力で 変えてみせる☆
※~※ REPEAT
☆~☆ REPEAT
突き抜けてゆけ
駆け抜けてゆけ
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