数々の名作と伝説を遺し、1970 年11 月25 日に、防衛庁内で衝撃的な自決を遂げた一人の男、三島由紀夫。
頂点を極めた大作家の壮絶な最期に、世界中が驚愕した。 45 歳という短い人生を自ら幕引きした彼は、その人生において、何を表現したかったのか。ともに割腹した青年・森田必勝(楯の会学生長)と三島の、その心の奥底には、何が潜んでいたのか。
「三島の美学だ」「三島の政治だ」「三島の限界だ」と、これまで、彼の作品や人生を分析、評論したものは数多ある。しかし、若松孝二が描き出そうとしたのは、「三島由紀夫」の人生の再現ではない。
1936 年2月26 日の青年将校らによるクーデター未遂。あの将校らの姿を見つめるミシマ少年の眼差し、そして、敗戦後の日本を見つめる青年ミシマの眼差し、また、高まりゆく学生運動を見つめる作家ミシマの眼差し、若松は、そこに徹底的に寄り添おうとする。浅沼稲次郎社会党委員長を刺殺した17 歳のテロリスト山口二矢。大学解体、反権力を叫んで安田講堂に立て籠もった全共闘たち。人質をとって籠城し、差別への怒りをぶちまけた金嬉老。これらが、三島の脳裡に焼き付けたもの。「お前が信じるものは何だ?」三島が若き森田に問いかける。
三島は何を信じたのか。あるいは信じたかったのか。最期の絶叫の瞬間、彼の瞳は何を見つめていたのだろうか。
強烈な人間の衝動を映像に封じ込め続けてきた鬼才・若松孝二が 11・25 自決までの三島と若者たちの魂の軌跡を追う。
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