あなたらしい最期を生きる本-絵で見るはじめての終末医療マニュアル
奥井識仁(おくい ひさひと) 著 ハート出版刊 より
http://www.810.co.jp/book/ISBN978-4-89295-590-7.html
4章 死の定義
■心電図をみつめて死を確認することをやめよう
末期患者がいる病院で、酸素マスクをつけた患者さんの体にたくさんの点滴のチューブがついて、そして排泄のためのカテーテルがつながり、指には酸素濃度を測るためのサチュレーションモニターがつけられ、心電図が胸につけられてといった光景をよく目にします。
このようなときに病室を訪問するとしばしば、患者さんの家族が心電図を見入っているのに気がつきます。特に患者さんが旅立つその瞬間、みんなで心電図を凝視しているのです。これは、ちょっとおかしいと思いませんか?
心電図はその患者さんの心臓の動きを把握するためにつけられているのであって、それはあくまでも医師への連絡を主に行うための器具でしかありません。
心電図を見るのはは医師にまかせて、その瞬間に見ていてほしいのは、患者さんの顔です。にぎっていてほしいのは、患者さんの手です。死の瞬間の確認が遅れたからって罪ではありません。納得して送り出してほしいのです。
■残された家族の立ち直り
大切な人が亡くなった後、残された家族はどのように立ち直っていくのでしょうか。
俳優の仲代達矢さんが、著書『老化も進化』(講談社)で、妻である宮崎恭子さんの死について語っていたエピソードが印象的だったので一部引用します。
恭子さんは、告知を一人で受けて、夫の仲代さんには知らせないように医師に頼んだとそうです。しかし医師の立場上、家族に伝えずに治療を進めていくのは非常につらいので、その医師は仲代さんに電話で知らせました。私もこの主治医と同じ経験がありますが、必要以上の精神的負担があり、家族に伝えないととても私の心がもたなかっただろうと思います。
仲代さんは、そんな恭子さんについてこう書いています。
最後の瞬間まで自分のなりたい、理想の宮崎恭子を演じていたのでしょう
仲代さんが、その生き方を受けとめようしているのが伝わります。その結果、
「生きる」という仕事を続けていこう
こう思うようになったそうです。
私は、これまで看取ってきた多くの人に、「医師の前で弱音をたくさん言ってください」とお願いしてきました。そして同時に、「あなたらしい自分を、家族に見せてあげてください」ともお願いしてきました。あなたの望むあなたらしさ――それが家族に伝われば、家族は仮にあなたが亡くなった後でも、『生きる』ことをしっかり続けていくことができると思うのです。
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