京山幸枝若の秘蔵浪曲特選集(二)より、竹の水仙(ライブ)です。時間の関係で途中迄です。
浪曲「左 甚五郎」より竹の水仙
(ライブ録音)
口演 京山幸枝若/曲師 藤信初子・小池菊江
琵琶湖の風が身にしみる
此処は大津の町の中
づらり並んだ宿屋がある
宿の名前を呼んでみりゃ
角が角屋で二軒目が蔦屋
鯛を釣り込む恵比寿屋で
いつもにこにこ大黒屋
両刀喧嘩を駿河屋で
そこで親父が腹立花屋
母の頭を播磨屋で
後が痛みゃ膏薬屋
てそんな宿屋はないけど......兎に角、大津の町で一番安い宿、昔で云う木賃宿、今で云うと簡易旅館。大宮佐兵衛と云う安もんの宿屋、下の部屋で朝早よから夫婦喧嘩しとる。
「ちょっとあんた」
「何じゃい」
「こないだから二階へ泊まってるお客さん...今日で十日やで、一遍勘定貰っといで」
「十日泊ろうと、二十日泊ろうとお客さんが帰るっちゅうまで催促出来るかい」
「そんなこと云われんでも判っとるわい。あのお客さんが普通のお客さんなら、わたい何も云いやせんで...普通の客と違うやないかあの客は、泊った明くる日から朝が一升、昼が一升、晩が一升、寝酒が一升、夜中が一升、寝起きが一升、毎日毎日六升づつ酒くらいくさって、さかなちゅうたら...鯛や、平目や、鮪やて、竜宮城みたいに言いやがって...そんな贅沢出来る客かいあの客が、汚い着物着やがって、襟はアカでピカピカ光ってるし、帯ちゅうたら伊勢音頭みたいな帯しめやがって...」
「伊勢音頭みたいな帯ってどんな帯やね...」
「七とこ廻してささやあとこせ、芯が出ていてよいやな...ちゅう帯やないか」
「お前、何処で聞いて来るんやそんなこと」
「第一あの客の宿帳が気にくわんわい。泊った日に宿帳書いて貰うて、何ちゅう名前かなと思ってひょいと見たら、馬鹿にしやがって、行き先は鬼ヶ島で、商売が鬼退治、名前が桃太郎やて、人を馬鹿にして...十日も泊って贅沢さらして金はちょっとも呉れへんから見てみい、台所の品物みんな切れてもうたわ。米は切れた、麥は切れた、味噌も砂糖もしょう油も、塩も漬物も焚き物もみんな切れてもうたわい。切れんのは台所の包丁とお前とわしの腐れ縁だけ...」
「ようしゃべるなしかし、そない偉そうに云わんでもええやないか」
嫁はんにボロクソに云われて宿屋のオッサン、算盤と帳面と持って二階へ上がって来よった。
「ええ、一寸ごめんやす」
「おうおう、御亭主かいな、何ぞ用事か...」
「あのネ、気い悪うせんといてくんなはれや。わたいが云うのと違いまんネ。家の嬶がうるそうてネ、今日で十日目やから、一遍勘定貰うて来いて云うてまんのや...」
以下続く...
いいところで終わってる〜。
これから大月玄蕃が越中守に怒られて、血相変えて宿に戻ってくる場面が大好きなんです〜。「わしが卸であんたが小売り」やなんて、粋な計らいもなかなか。
幸枝若さんの左甚五郎腕比べの話はないですか?ぜひ聞きたいです。
MGT36480 1 year ago
@MGT36480 実家に帰省した時、探してみますね。
rikirubin 1 year ago