第十一話 開かずのトイレ
ある高校に野球部の寮がある。
その寮は昔、女子寮だったそうだ。
噂ではあるが、その頃、寮のトイレで女生徒が首を吊り、貯水槽に顔を突っ込んで死んだというようなことがあったという。
建物自体は改装が施され、見かけは新しくなったがどうもそのトイレだけは皆、気味悪がった。
特にその首吊りがあったという奥のドアは、開かずのトイレになっていた。
ドアには鍵がかけられ、釘が打ちつけてあり、使用禁止の札がかかっている。
新入生のS君はここの野球部に入った。
ある真夜中、S君はそんな噂を知らずにトイレに行った。
S君はトイレに入ろうとドアを開けた。真夜中ということもあったが、真っ黒な目の前のトイレはあまりいい感じはしなかった。
S君は素早くトイレの電気をつけた。
トイレのドアが三つあり、早速、一番手前のドアをノックすると、中からノックが返った。
あれっ?人が入ってたんだ。
「電気が消えていたのになぁ......」と、S君は思ったが、早く用を足したいせいもあり、あまり気に止めなかった。
二番目のドアをノックする。
やはり中からノックが返る。
ここも入ってる。S君は真夜中にめずらしいこともあるもんだと思った。
続いて一番奥のドアをノックする。
するとノックは返らず。
そのままドアが開いたので、S君はそこで用をたした。
さて、ようが終わり水を流そうとクサリを引っ張ったが、トイレが古いのか、水の出が悪くて全然流れない。
このまま汚しておくと、上級生に大目玉をくらうと思い、部屋から洗面器を持ってきて水道の水を汲んでは便器に流したがそれでもうまくいかない。
仕方ないので、寮長の先生を起しにいった。
「しょうのないやつだな」と先生はブツブツ言いながら、掃除道具を持ってトイレに同行してくれた。
「どこだ」
「はぁ、あの一番奥のトイレです」
すると先生の顔が青ざめる。
「あそこは開かないはずだぞ。どうやって開けた?」
よく見ると、誰の仕業なのか鍵がはずされ、釘も抜かれていた。
「......嘘でしょう......」とS君はすっかりビビってしまった。
このままほっておくわけにはいけない、試してみるとやっぱり水が流れないので、先生は貯水槽によじ登って見たその瞬間。
「わぁーっ!」
物凄い量の長い黒髪が、水を詰まらせていた。
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