健康の良し悪しを顔色、つまり体内の血液量で見ることが出来るように、体内の血液量の変化を調べることで、活動している生体の働きを測ることが出来ます。岡田研究室では、可視光よりも波長の長い近赤外線が身体の中を透過して血液で吸収される性質を利用し、刻々と変化する脳内の血液量といった生体の機能を測定する技術についての研究を行っています。
Q「赤外線は身体の中に入って、透けて見ることができるので、例えば、頭蓋骨を通り抜けて頭の中に入っていく、脳を通ってまた身体の外に出てゆくということが出来るわけです。そうすると、赤外線の吸収量を測ることによって血液がたくさんあるところと無い所がわかると。それで、脳がはたらいたところっていうのは血液が増えるので、その血液が集まっているという情報を採る、今脳のどこが働いているのか、その機能をはかるといった研究で目的を進めております。」
光による脳機能計測では、骨や皮膚などの生体組織を通った光が、散乱されて検出されるため、通常人間がものを見るようにハッキリとした画像ではなく、すりガラス越しに見たような曖昧な結果しか得ることが出来ません。そこで、赤外線の光が検出器に到達するまでの時間を「時間分解計測法」を使うことで検出します。これは一兆分の一秒という驚異的な分解能で光がどのように変化したのか追うことが出来ます。さらに、コンピューター上で身体の中で光がどのように伝わるかをモデル化し、よりハッキリとした画像を検出することが必要になります。
Q「例えば光が頭の中を20cmで走ってきたていう情報が入ってきたわけですけれども、じゃあその20cmはどこをどう通ってきたのか
例えば脳を走ってきたのか、頭蓋骨を走ってきたのか、表面の皮膚を走ってきたのか、それがわからないわけですから、そこの部分のモデルをコンピューターの中で作ってあげて、そのモデルの中を光が走る様子というのを、シュミレーションで解析することによって、実験と矛盾しないデータを作ることで、
実際どこを走ってきたのかということを推定してあげるわけです。」
病院などで広く使われている磁気共鳴イメージング装置、MRIでもファンクショナルMRIという方法によって脳機能を測ることは出来ます。しかしその一方で、MRIは非常に大きな装置で、検出をしている間、長時間にわたって姿勢を動かすことが出来ないという制約が生まれてしまいます。光を使った計測は、その点を解消する方法を提示しています。
Q「光というのは、光ファイバーを頭に着けるだけで、測定することが出来ますので、例えば、装置の方をベッドサイドまで持っていって測ることができます。そういう意味では、MRIというのが非常に大きな装置であるのに対して非常に簡便に、脳波を測るというような感覚で使えるわけですから、
そういう意味で、お互いの特徴を生かし合いながら、脳機能の解明に使われていくと思います。」
光を用いることで、今まで見ることができなかった脳の仕組みを知ることができます。岡田研究室では、これからも光の物理現象を追求していくことで、未知の領域を切り開いていきます。
Q「私の研究室の様に、例えば生体を扱っていて、且つ、光という物理現象を扱っていて、さらにコンピューターの中でモデルを作るなんてことをしていると、非常に多様な興味を持った学生が集まってくる。本当に脳に興味があります、生体に興味があります、という学生もいれば、やはりコンピューターのシュミレーションや、コンピューターの中でいろんなことをやりたいとか、やはり、光に興味がある学生もいますので、そういう意味ではいろんな興味のある学生が、且つそのいろんな分野の知識を生かしながら、研究をやっていけるフィールドだと思っています。」
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