20枚目のオリジナルアルバム「メビウス・ゲーム」より。30枚目のシングル曲。作詞阿木耀子作曲宇崎竜童編曲萩田光雄。「ロックンロール・ウィドウ」は、元々、純粋にこのアルバム用にと考えていた。アルバム用ということで、例によって多少遊び心を入れたいと思っていた。百恵に引退までの間に一度ストレートな「ロックンロール」を歌わせたかったことを実現させることにした。タイトルは「○○○○・ロックンロール」あるいは「ロックンロール・○○○○」というようなタイトルにしたかった。1週間ほど考え続けていたとき、僕がそのころ凝っていたフライ・フィッシングの釣り用のTシャツに「FlyFishingWidow」と書いてあった。「よし、このタイトルのWidowを戴こう」同時に詞の内容もなんとなくイメージが出来上がった。「ロックンロール・ウィドウ」を阿木・宇崎夫妻に依頼したいというのは、勿論最初からの希望であり、このイメージを詞にするのは、まさしくロックンローラーのご主人を持つ阿木さん以外には考えられなかった。そして、曲のイメージの参考にしたのは、伝説的なハードロックバンド、レッドツェッぺリンの、その名も「ロックンロール」という名曲である。この曲のサビの終りには、(中略)「lonely」を繰り返すのだが、これがメチャクチャカッコいいフレーズなのである。この繰り返しのアイデアを拝借し、宇崎氏にそれを伝えたのだった。そして、彼から出来上がってきたフレーズ「♪かっこ、かっこ」の繰り返し部分は、こちらの注文以上に実に効果的だった。阿木さん・宇崎氏のおふたりは、見事にこちらの要求にこたえてくれ、こちらのイメージを、見事に具現化してくれたのだ。初めてのお二人の作品「横須賀ストーリー」の「♪これっきり、これっきり、もう」という傑作フレーズにも、匹敵するほど完璧なフレーズだった。百恵は本格的なロックンロールを歌うのが初めてなので、ボーカルの録音には、非常に神経を使った。百恵自身も初めての歌い方(シャウトするロックンロール)を自分のものにするまで、「人に聞かれるのは恥ずかしい」と言うので、スタジオには百恵と僕とエンジニアの3人だけを残し、それ以外のスタッフは阿木さん、CBS・ソニーの酒井氏も含めて全員にロビーに出てもらった。百恵はこの曲のカラオケに、僕がガイドボーカル用に無理やりシャウトして歌った歌を、ヘッドホンから大音量で聴き、それに合わせて、負けじと声を出して歌うというリハ(練習)を、繰り返していった。そのリハを録音したテイクから僕の声を消し、百恵の声だけを残し、歌がどんな表現になっているのか、プレイバックしながら百恵とチェックを行った。これを聞くうちに、勘のいい百恵は、この曲でどんなふうに歌えば良いのか、すぐにコツをつかんだ。そして本番のレコーディングは、テイク・スリーでOK。百恵は、詞の世界の主人公になりきって、見事にロックンロールを歌いあげた。やはり一気に自分の世界へ引き込むことにかけて、百恵は天才的だった。(続きはシングルバージョンで)
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