2000年の、養老孟司氏をホストとした、ATR人間情報研究所の川人光男氏との、バーチャルリアリティをテーマとした対談的な映像からのクリップです。
私事となりますが、僕は1991年初頭に起こった祖母の交通事故による植物人間化に端を発して、本格的に精神を病んでしまい、五感を含め、論理力、記憶力、分析力、身体能力、空間把握力、新陳代謝能力等のあらゆる機能を極めての低下とさせてしまいました。
神経内科等の部分カウンセリングや薬物療法も経てきましたが、良医と巡り合えなかったせいか、また薬物療法が期待通りの効果を得られなかったためもあって、良い効果を得られませんでした。
その長い苦しい生活の中で、いつ頃からか自分の運命を受け入れ、その上で自分の今成せることを成すという方向性を持つようになりました。その時点での運命を受け入れるとは、絶望を受け入れるということです。絶望は、苦しい、辛い、だから嫌だ!と逃れようとすると、かえって苦しいだけになります。ですから、それを受け入れて共に歩んでみれば、その絶望がどのようなものか、どのような形をしているかがよく見えるようになるのです。なので、それとどう付き合えば良いかというのも見えてくるわけです。
そしてそれと一緒に自分の中で生まれた思考が、人間にとって自然な姿とは、生き方とは何かというものでした。これを徹底的に内省と内観法で以って煮詰めて行き、何年もかけて時間をかけて歩んで行きましたが、その甲斐あって、1997年ぐらいから段階的な回復を経るようになり、そして2004年初頭頃だったと思いますが、ほぼ完全な回復へと至ったのです。大きな傷と捩れであったのですから、やはりそれぐらいの時間はかかるのですね。
薬を止めれば再発率80%と関係者皆に言われましたが、4年目を過ぎ、5年目を迎えようとしていますが、再発無くして更なる回復に向かっていますし、よりその人間にとっての自然なる姿というものを追うことによって、更なる良好な経過を見ています。それを例えると、方丈記の書き出しに見られるゆく河の流れは絶えずして、しかも元の流れにあらずという感覚で生きるというものでしょうか。でも簡単に真似できるものではないので、そこら辺は安易な期待を持たないで頂きたく思います。そのような方法もあるということを知ってもらうぐらいでしょうか。
その人間の自然な姿とは何かという延々とした追求によって得られてきた理論のようなものが、丁度近年部分的に隆盛を見る身体論というものと大きく合致や近似を見るものであったのです。そしてその僕の理論のようなものは、さらに今進展を見ています。
現在、その身体論なるものを広く語っている論者は、僕の知る範囲では、武術研究家の甲野善紀氏、神戸女学院教授であり、仏現代思想研究家の内田樹氏、そして脳化学者の養老孟司氏です。斉藤孝氏も重なるようです。
その身体論というものから見ての現代とは、その養老孟司氏がしばしば言われる都市化して脳化した現代人であるとか、概念化した社会というようなものとなります。これは人間存在の危機とも言えるものでしょう。それが中間的な危機となるものなのか、末期的な危機となるものなのかはわかりませんが、ともかく言えるのは、現状のパラダイムでは保てない状況の出現と言えると思います。しかし、一般において、その現代観はあまりに身近過ぎて思考が及ばないようです。
最近において映像資料を整理していましたところ、その理解に好適な資料が見つかりましたので、丁度良いと、それのクリップを公開しよういう運びとなりました。
リーマンショック以降の世界同時株安からの世界的不況状況が、さらにその窮乏状況にムチを打つような面がありまして、なかなか良い先行きが見えない時勢となっておりますが、この身体論というものに目を向けてもらうことで、人間の本来的な豊かさを取り戻す契機となれば幸いかと存じます。
kumo74さんのこの動画の詳細を拝読して共感いたしました。
自分も痴呆症の祖母と同居しながら、苦悩した記憶があります。
脳のバーチャル性と人間の生き方は、今後の日本、世界にとって重要な課題に違いないと思っています。
アップありがとうございました!
mach4080 2 years ago
そのように言われて、恐縮です。
kumo74 2 years ago
絶望的状態にあるご自身を受け入れ、生きていくことを決断されたことそれ自体がとても尊く、並大抵のことではないと思います(私はその壁を乗り越えられず、もがいているおります)。内田樹の著作はほぼ全て読んでいますが、身体論の本は未読なので、早速読んでみようと思います。ご自身の体験を交えた貴重なお話、身体論のご紹介、ありがとうございます。
sedricck 2 years ago 2
また、彷徨う身となりました。大口をたたいてすみませんでした。
kumo74 2 years ago
斉藤孝と検索したらこのクリップが出てきました。大変勉強になりました。また、貴重なお話まで聞かせていただき、本当にありがとうございます。貴重な体験をされましたね。回復された事を本当に嬉しく思っています。
hikav 3 years ago
そのような言葉を頂きますと、恥ずかしくもありますが、ありがたくも思います。 このような拙いものでも、何らかのお役に立てていれば、嬉しく思います。
kumo74 3 years ago