監修:見市雅俊(中央大学文学部)
どの歴史をひもといてみても、その時代を象徴する『病気』というものがあります。 その多くは伝染病で、ヨーロッパの歴史をみると、まず中世のハンセン氏病や、黒死病(1343年末ー50年)にはじまるペストの流行。これは当時、ヨーロッパ全人口のおよそ3分の1が死亡したと推測されています。16世紀には梅毒が流行し、17世紀から18世紀は、発疹チフスと天然痘が蔓延しました。そして『進歩の世紀』と呼ばれる19世紀。この時代を象徴する伝染病は、コレラでした。
コレラはもともとインドに固有の風土病(エンデミック)に過ぎませんでした。それが1817年、突如として世界的流行(パンデミック)が起こり、コレラ菌が全世界にばらまかれることになったのです。その過程にはヨーロッパのアジア進出が深く関わっており、日本でも1822年(文政5年)に初めてコレラが上陸しています。
1830年代、コレラは世界中で猛威をふるいました。ヨーロッパ全土がひとつの疫病に同時に席巻されたのは、黒死病以来これがはじめてのことでした。当時のヨーロッパの大都市は、急激な人口増加のために、それまでの都市構造が飽和状態となり、新しい都市生活のあり方が模索されていました。そこに出現したコレラは、新しい都市づくりへの大きなきっかけとなったのです。
今回は、19世紀初頭のイギリス都市環境が、コレラの流行によって、どのように変容していったのかを探ります。
(登場人物の肩書きや施設等の名称は番組制作当時のものとなります)
2010年度制作
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