新・人間革命
母の詩 十
東京文化祭は演目を重ね、男子部による組み体操
「青年の譜」が始まった。
学会歌の躍動の調べに合わせ、山本伸一の詩
「青年の譜」を朗読する声が響く。
舞台では、人間のブリッジがつくられ、人間風車が
回り、人間ロケットが飛ぶ。さらに、人間ピラミッドが
築かれる。
ダイナミックに展開される演技に、観客は息をのみ、
一心に舞台を見ていた。
オレンジ色のユニホームに身を包んだ青年たちに
よって、組み体操の圧巻ともいうべき、五段円塔へ
の挑戦が始まった。
土台となる一段目の円陣を組んだ二十人が、呼吸
を合わせ、渾身の力で立ち上がる。
その上には、体をかがめた二段目の十人、三段目
の五人、四段目の三人、五段目の一人が乗って
いる。
「同志の歌」の調べが流れるなか、二段目が立ち、
やがて、三段目も立ち上がった。円塔は小刻みに
震えている。
四段目が立ち、五段目の一人が立ち上がりかけた。
その時、円塔は、グラリと大きく揺れた。そして――
崩れ落ちた。
「ああっ!」
会場から喚声が起こった。
*しまった!失敗だ!*
円塔の中で演技の合図を出していた、五段円塔の
演技指導責任者で、江戸川区の副本部長の石上
雅雄は、頭の中が真っ白になった。
―― 東京文化祭で男子部が組み体操を行うこと
になったのは、八月三十日であった。
「学会魂をいかんなく表現するには、やはり組み
体操しかない」ということになり、五段円塔にも挑戦
することになったのである。
学会の文化祭で、五段円塔は、何度かつくられてい
たが、準備に約一カ月は必要とされてきた。しかし、
今回は、わずか五日しかない。まさに不可能への
挑戦であった。
だが、青年たちは燃えた。断じて、成し遂げようと決
めた。困難の壁が厚ければ厚いほど、闘魂を燃え上
がらせるのが青年である。 =2010年10月13日・聖教新聞=
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