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朗読 中尊寺供養願文 (下)

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Uploaded by on Jul 14, 2009

(上より つづく)・・・

私は縁あって、奥州の長(おさ)に連なる家に生まれ合わせました。幸いにも白河法皇が統治される平和な世に生きることとなり、このように長生きをし、平和の時代の恩恵に浴­して参りました。
 そして我が奥州の地では争い事もほとんどなくなり、捕虜を住まわせた土地や、かつて戦場だった所も、平穏な地になりました。
 さてこの時代にあって、私は、分不相応にも、祖先の残した事業を引き継ぐこととなり、誤って、奥州の長の座に座ることになりました。今や出羽や奥州の民の心というものは、­風に草がなびくように従順になっております。また海を隔てた地の異国の人々とも、平和な交流を重ねております。
 私も、あるがままにこの地を治めて三十年以上が経ち、平和を謳歌して参りました。
 毎年の租税を滞ることなく納め、生業に励み、鳥の羽や毛皮、獣の牙の貢ぎ物の献上も欠かしませんでした。
 これにより度々ご厚情をかけていただき、遠い都から国のために尽くしたとのご褒美を頂戴し、そのご恩に感謝しない日は一日たりとありませんでした。
 ところが私は、既に六十歳を過ぎてしまいました。人の運命というものは、天にあるものではございますが、どうして、平和の世を与えていただいた恩を忘れることができましょ­う。それには善行を積む以外にはないと思い立ちました。
 そこで、残っている財貨を洗いざらいなげうつ覚悟で、占いにより吉と出た土地に、堂塔を建て、純金を溶かして、経典を書写させてきました。 経蔵、鐘樓、大門、大垣などを設け、高い所には築山を施し、窪地には池を掘りました。
 こうして平泉の地は、「龍虎は宜しきに叶う」という四神が揃うと平和の地となりました。東北の人々も多くの者が仏を信じて、この地は、諸佛を礼拝する「霊場」となりました­。また懺悔と滅罪のため、万燈会(まんどうえ)の法会を行い、この時には菩薩に一万の灯明を捧げる供養をしております。その時、衣に付けた香(こう)の香(かお)りは、き­っと普く大地を覆うでありましょう。
 心からお祈り申し上げます。

白河法皇 さま。
 今の平和の世では、諸々の大臣も武官文官も、全国津々浦々の民百姓は、みな今の世を楽しみ、長生きをして、平泉の地に天皇のご命令による御願寺ができたことを祝っておりま­す。
 平和のために堂塔を建てる真意につき、天子さまからのお言葉を頂戴し、今ここに念願であった犠牲者の供養の思いを遂げようとしております。
 宝歴三年、陽光の春三月の良き日に合わせて、占いもみな吉と出ています。
 そこで本日は、千五百人の僧を招き、八万十二の一切経を読呪いたします。
 一切経の金銀の字の輝きは、私の平和国家への真心を照らし、その読呪の声は力を合わせて、法皇の長寿を祈りましょう。そうすれば、私は一生涯を恵みの海に浴し、亡くなった­後には、極楽浄土にゆくことが叶いましょう。
 平泉中尊寺を訪れる者は、この世の牢獄に繋がれた者も、あの世にいて輪廻の苦しみ中にある者さえ、善き報いを受けて、長い苦しみの牢獄から自由となり、限りない安らぎを得­ることでしょう。 
天治三年三月二十四日 弟子藤原清衡

(現代語訳は佐藤弘弥)

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