第七話 見えた人、見えなかった人
友人のお母さんが、こんな体験をしたという。
勤め先からの帰り、いつものように乗る電車。
その最後尾の車両に彼女が乗っていた。
電車がトンネルに入った時のことだ。
衝撃音がした。
彼女は反射的にその方向を見た。
(これを見ているのは私だけかしら......)と思ってまわりを見ると、一部の乗客が怖がって騒ぎだした。
また、社長室のあたりを見て、あっと驚いて車両を替える人も出てきた。
その時彼女は(あっ、これが見えているのは私だけじゃないんだ)と思ったという。
しかし、どうも車掌にはそれが見えないらしく、それが、自分のすぐ背後にはりついているのに、なんだがきょとんとしている。
車掌は、自分の方を見て乗客が騒いでいるのに気が付き、あたりを見回す......
また、さっきと同じ衝撃が電車に響いた。
乗客たちは「わーっ」と悲鳴を上げだした。
が、その一方で、車掌室の方向を見ながら、車掌同様きょとんとしている人も大勢いる。
電車がトンネルを抜けたとたん。
窓はりついていた二体の女は跡形もなく消えたという。
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