第十話 玄関先
私が大学から帰宅途中のことだった。
ある夏の夕方、ある家の玄関先に見知らぬ女の子がたった。
年の頃は五、六歳か。その子は真っ黒な長い髪で、少しうつむいていたので、顔を見ることが出来なかったが、このあたりの子じゃない。
だが、その女の子は、その家に入るでもない、どこへ行くでもない、ただ、そこにいてぼーっと立っている。
家の者も気がついて声をかけるが、やっぱりぼーっとしているだけで返事もしない。
誰かがむかえにくるだろうと放っておいたら、一時間ほどするといなくなった。
ところが翌日も、女の子が玄関先に立っている。
昨日とほぼ同じ黄昏時。声をかけてもやっぱり、ぼーっと立っているだけである。
ところが、女の子が姿を現さない日があった。
その晩、その家の主人が急死したのである。
数週間後、同じ女の子が三軒隣の玄関先にたった。
その翌日、その家の長男が首を吊って自殺をした......
その後、その女の子は姿を現さなくなった。近所ではあれは幽霊ではないかと噂された。
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