曲名『神田川』
杉酒屋の段
三輪山のふもとの杉酒屋の娘お三輪は、隣に住む烏帽子折の美男子園原求女に一目ぼれする。じつは求女こそ藤原淡海の世を忍ぶ仮の姿であった。だが求女には入鹿の妹橘姫という恋人がいた。求女は入鹿の館に潜入するため、姫の裾に赤糸をつけて跡を追う。お三輪も求女の裾に白糸をつけて追跡する。
道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)
夜の布留(ふる)の社(石上神宮)で繰り広げられる、求女をめぐっての橘姫とお三輪の争いを見せる所作事。最後は求女が橘姫を再び追いかけ、お三輪も求女のあとを追って行く。
三笠山御殿(金殿)の段
入鹿は官女たちを侍らせて宴会をしている。そこへ難波の漁師鱶七という者が鎌足の使いと称してやってくる。いぶかる入鹿に鱶七は、入鹿の家臣になるという鎌足からの手紙を見せるが、納得しない入鹿は実否をただすまで鱶七を人質にせよと言い捨て奥に入る。豪胆な鱶七はさまざまな罠にもびくともせず、悠々と奥に入る(鱶七上使)。
橘姫が帰ってくる。そのあとを赤い糸をしるべに求女が追ってくる。橘姫は求女に、妻になるため、命にかけて入鹿が所持する十握の宝剣を奪うことを誓う(姫戻り)。
お三輪は求女に付けた糸が切れながらもようよう御殿にたどりつき、来かかった豆腐買いの女から求女と橘姫との祝言がおこなわれると聞いてあせる。御殿の奥に入ろうとするが、官女たちに見つかりさんざんに嬲られる。心傷つき帰ろうとするお三輪の耳に、花嫁花婿をはやす声が聞こえる。ついに嫉妬に狂ったお三輪は、髪振り乱し奥へ駆け入ろうとすると、鱶七に刺される。鱶七は実は鎌足の家臣金輪五郎であった。主君の命を受け入鹿を討つべく来たのであるが、爪黒の鹿の血と嫉妬に狂う女の生血を鹿笛にかけて吹けば、入鹿の力が衰えることを知り、不憫ながらもお前を刺したと物語る。お三輪は自己犠牲が恋人求女、実は藤原淡海のためになることを知り、嬉しげに死んでいく(竹雀)。
そして鹿笛の霊力で魔力の衰えた入鹿は、金輪五郎をはじめとする人々によってついに討たれるのであった。
杉酒屋娘お三輪 = 片岡孝太郎(初代)
漁師鱶七実は金輪五郎今国 = 片岡愛之助(6代目)
烏帽子折求女実は藤原淡海 = 中村扇雀(3代目)
蘇我入鹿 = 片岡進之介(初代)
入鹿妹橘姫 = 中村壱太郎(初代)
宮越玄蕃 = 中村亀鶴(2代目)
荒巻弥藤次 = 坂東薪車(4代目)
豆腐買おむら = 中村翫雀(5代目)
Link to this comment:
All Comments (0)