2011年5月1日、ミュージシャン二人とプロデューサーの三人が、福島県相馬市に足を踏み入れた。この未曽有の大惨事を肌で感じ、しっかり記憶に焼きつけ、震災後の音楽とは何かを自らに問うためである。
東北道福島西インターを降りて115号線(中村街道)を東へ向かう。やがて車は相馬市の中心街に入るが、震災の爪跡はまったくと言っていいほど感じられない。ところが、国道6号線を横切り、74号線に入ったあたりから、様相は一変する。
一面の瓦礫。時間が止まったような世界。ここは本当に日本なのだろうか。東北の海岸沿いに、ある日突然巨大な湿地帯が出現したかのようだ。
震災からすでに50日が経つが、復興はいつ始まるとも知れない。しかし、住民はちらほら戻ってきているようだ。誰もがたんたんと瓦礫の片づけをしている。話しかけるのも憚られるような重い沈黙が流れている。
まぎれもなく、桁外れの破壊が訪れたのだと、思い知らされる。人間の無力さを嘲笑うかのように、ウミネコが座礁した船の上を舞う。
人間の営みは、いとも簡単に捻り潰された。しかし、地球の歴史の中では、何度となく破壊と創造が繰り返されてきた。ここから始まる再生もきっとあるはずだ。この大いなる生まれ変わりの時に、音楽はどのように可能なのか。
三人は、それぞれの宿題を胸に、沈黙のまま、次なる旅の目的地へと向かった。
篠笛・ジャンベ:中嶋竜一
歌・ギター・ウッドベース:助川久美子
撮影・編集・解説:Anthony K.
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