作曲演奏:Shyonen
歌詞はノンフィクションです。
彼は福島の美しい山のふもとで産まれた。
それは54年前。
彼は彼の父の牧場を継承した。
彼はその牧場を大きくするため
毎日懸命に働いた。
彼は午前3時から牧草を刈り、
牛達の世話をした。
彼はその後に畑仕事に出ることもあった。
彼は真面目で仕事に熱心だった。
彼は妻と2人の息子と暮らしていた。
6歳と5歳の男の子だ。
彼と揃いのヤッケを着た妻が、
牛の世話を手伝っていた。
彼は長男の入学式を楽しみに待っていた。
彼は誇らしげに笑って言った。
「街まで行って、高価なランドセルを買ってやったんだ」。
3月のある日、原発が爆発した。
彼は被曝した牛乳を出荷出来なかった。
彼は搾った牛乳を捨て続けた。
「牛乳が売れないからお金も得られない」
4月、妻子は彼女の故郷フィリピンに帰国した。
長男の入学式の直前だった。
彼は彼らを追ったが、5月初め、
1人で日本に戻ってきた。
彼は彼の仲間に牛の処分を頼んであった。
牛舎には牛は1頭もいなくなっていた。
彼は酪農仲間に詫びた。
「迷惑をかけてすまなかった」
農協職員が彼の死体を発見した。
新築したばかりの堆肥舎の中で。
ベニヤの壁には、白いチョークで彼からのメッセージが書かれていた。
『姉さん大変お世話になりました。
原発さえなければと思ます。
残った酪農家は原発にまけないで願張って下さい。
僕は仕事をする気力をなくしました。
妻よ子供達よごめんなさい。僕は良くない父親でした。
この世を去った父よ母よごめんなさい。』
隣の牛舎黒板にも彼の言葉が書かれていた。
「原発に手足をちぎられ酪農家」
「僕はやる気をなくした。」
彼の葬儀。
家族達や酪農家達200人が彼の死を悼んだ。
フィリピンから駆けつけた妻と息子達は寄り添い、泣きじゃくった。
彼にとって幸せって何だったのか。
僕たちにとって本当の幸せって何だろう。
彼は今、僕たちへ問いかける。
声無きメッセージは永遠に。
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