あなたらしい最期を生きる本-絵で見るはじめての終末医療マニュアル
奥井識仁(おくい ひさひと) 著 ハート出版刊 より
http://www.810.co.jp/book/ISBN978-4-89295-590-7.html
7章 在宅でのケア
■家に帰りたくなったら
長い入院生活の中で『家で過ごしたい』という思いがわくのは当然のことです。
そんなとき、医師に遠慮はいりません。治療を中断してもかまいません。誰でもいいですから、まずその気持ちを伝えましょう。
しかし、あなたの帰りたいという気持ちに反する、いろんな現実的な問題があるかもしれません。
『まだまだ、この体力じゃ無理だ』
『もう少しよくなってから』
『一人暮らしだから無理だ』
そんなことはありません。いろんなアイデアを出して乗り越えましょう。
このマンガでは、患者であるお父さんが「帰りたい」と言ったとき、看護の中心となる息子さんがまだ若いので、さまざまな技術的なことや先行きの不安から、周囲も看護師も反対しました。でも主治医の私と息子さん自身だけが賛成したのです。
でも、それはあくまで一部の見方です。患者さん自身の「帰りたい」という気持ちがすべてです。
ある男性の患者さんがいました。彼はいままで一人暮らしで自由に生きてきたので、まわりの人からよく思われていませんでした。にもかかわらず、彼は「最期は自宅で迎えたい」と望みました。
すると、どうでしょう。隣家のおばさんや向かいのおばさんが、「近所みんなで、彼の見回りをする」と言い出したのです。何だかんだいっても、隣近所で過ごしてきた仲です。
ある日、彼はとてもおいしいメロンを一つ全部自分で食べてしまいました。みんなあきれて帰ってしまいました。その翌朝、私が様子を見に行ったら、彼は静かに亡くなっていました。きっと満足のいく死であったと思います。
■子供たちの受け入れ
あなた自身が病気で家に帰る場合も、あなたが病気の家族をつれて家に帰る場合も、大切な家族である子供たちの受け入れは重大な問題です。子供たちを傷つけることなく、旅立ち前の患者さんと一緒に暮らすにはどうしたらいいか悩むことも多いかと思います。
アメリカの研究では、子供は小学校3年生からはっきりと死というものを理解できるとされますが、小学校1年生でも理解できる子はいます。旅立つ際に、あなたが、あるいはあなたの家族が子供たちの心の中でよい思い出として生きていくことができれば、それは彼らにとってとても大きな財産になります。
また、あなたの両親が病気で看取りをしないといけないとき、そして、わが子に積極的に理解して成長してほしいと願うときは、事前に死をテーマにした童話を読み聞かせするとよいでしょう。
■光と季節を感じてみましょう
落ち込んできたときは、生命エネルギーの塊のようなものに触れてみると、とても落ち着くといわれます。太陽の光、道端の植物、元気な小動物――これらはみんな生命エネルギーにあふれていて、手にとると、命をわけてくれるような気持ちになれます。ナイチンゲールは、『人間は花のように太陽の方を向きます』と書いています。
できるなら外に出て、難しいなら窓を開けて、季節を肌で感じてみましょう。季節の移り変わりは、また生きている実感を味わえるものです。四季のはっきりした日本ならではです。
そして、新しい旬の食材がきたら、さっそく天ぷらにして食べてみてください。植物や魚たちの命から、生命エネルギーが手に入ります。
そして、気持ちよく感じているあなたを見て、周りの人も気持ちよく感じることができるのです。
ハート出版
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深いですね
stsin0813 2 months ago