学校は、子どもたちに不平等を平等に分配する装置です。そして、このことは世界共通であり、どんなにがんばっても、変える事など できません。例え、どのような理念や目標を掲げようが、結果として子どもを評価格付けすることだけが、学校の機能です。
例えば、成績表を廃止しても、「学力格差」の解消には、何の関係もありません。また、莫大な予算を投入することで、全ての子供に 英才教育を施し、オール5の評価を付けて社会に送り出したところで、社会の側が、子供たち全てを、1等賞として受け入れる準備な どしていません。つまり、成績優等生・一流大卒者をいくら大量に排出しても、彼らの全てが平等に職を手にすることなど有り得ない からです。
これは、私たちの暮らす、現代社会が、結果の不平等を是認している為ですが、実現されることなく崩壊した共産主義社会であっても 同様です。社会主義体制は、経済格差の解消を目指しましたが、「個」ではなく「共生」を、つまり、「社会全体の発展」を出発点に 置くため、資本主義以上に、全体主義的で巨大なピラミッド社会をいとも簡単に作り上げてしまうからです。
いずれにせよ、心の問題や道徳教育など、学校教育の中には、入り込む余地などないし、制度として作り上げたところで、それが、機 能する見込みは限りなく乏しいのが現実です。この事実は、心の教育を放棄することを奨励することを意味しません。重要なのは、学 校自体にその機能を果たす能力が確保できない。つまり、学校教育には、格差解消機能がパラドクスな問題として含まれていることを 明確に認識しなければならない、点です。極論すれば、「心の問題を、格差の再生産による格差そのものの平等分配機能によって克服 することなど可能か?」ということです。
さて、ドイツでは90年代末以降、金融危機が到来する昨年までの間に、日本とは比較できない規模と速度で、徹底的に構造改革が実 施され、現在もなお進行中です。その結果、DIWの統計が示す通り、たった10年の間に560万の人々が、中間所得者層から脱落 し、同時に、極貧貧困層が国民の1割強に達ました。
その一方で、ドイツの大連立政権与党は、教職員たたきを行ったのです。つまり、現実的に学校自体が、社会において、不平等の分配 ・不平等の押し付け機能を担わされている為、格差の拡大傾向が加速する中では、国民の怒りのハケ口として、もっとも有効だったか らです。
その結果、ドイツの学校教育現場には、より巨大な合理主義思想・競争原理が導入され、次々にエリート学校が新設されることになり ました。その際、切り捨てられたのが、レポートにあるような、ゲットー・貧民街の学校です。
レポートで紹介された、ベルリン市内には現在、3つのゲットーが存在し、ドイツ国内の、各主要都市には、そこら中にゲットー地区 が出現し始めています。このレポートが放映されたのは、2009年6月です。
ちなみに、ドイツ人が現在最も危惧しているのは、これら貧困地区におけるカルト教団の浸透活動です。彼らは、貧困家庭の子どもに 、無償で食事を提供したり、学習塾を開設したりしながら、貧困を利用しつつ、巧みに浸透活動を展開します。金融破たんで、根こそ ぎ優良企業が事業の縮小解体を余儀なくされる一方で、カルト教団の浸透によって、街が丸ごと新たなゲットーに創りかえられていく のです。ドイツ国内最大のゲットーを抱えるベルリンには、米国最大のカルト教団が、欧州本部を開設したばかりです。
最後に、ドイツの構造改革が『既得権益の破棄』という標語のもと、日本における民主党に極めて近い、社民政党SPDの首相によっ て、推し進められてきた点に言及しておきます。その為『既得権益を保護』する形で改革を骨抜きにし、失敗させた自民党政策を、再 度冷静に分析する必要があります。何故なら、構造改革に成功したはずの、ドイツでは、日本以上の社会崩壊が進行しているからです 。ドイツの最大の失敗は、勿論、今回のレポートにあるように移民・同化政策の破綻です。
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